クリスト ディ カンポベッロ

ワイナリー

白亜のチョーク質土壌

 クリスト・ディ・カンポベッロ社は、シチリア南西部のアグリジェント近郊に位置する。この地域は最もアフリカ大陸に近い場所であり、アフリカからの影響を大きく受ける場所である。6、7月にはアフリカ大陸からシロッコと呼ばれる季節風が吹く。台風並みの風速30m/s、40度を超える強風が南から吹き荒れる。暑く湿った厳しい土地である。また、この地域は土壌がモザイク状に異なる複雑な場所。道一つ隔てると全く異なる土壌になる。クリスト・ディ・カンポベッロ社の畑がある場所は、白亜のチョーク質土壌。純度の高いチョーク質の結晶がゴロゴロとしていて、風化して白い砂となっている。手で触れると、真っ白にパウダーが付くほどである。このチョーク質は貝殻やウニなどの化石が堆積してできた炭酸カルシウムであり、海由来のミネラルを豊富に含む。その為、この地域で育った葡萄にも影響をし、熟度、糖度が高いだけではなく、余韻に塩味、苦味を感じられるワインを造り出す。この恵まれた土壌を活かす為に、除草剤、農薬などの化学肥料に頼る事のないビオロジック農法を施している。そら豆を使った土壌への窒素供給も、隔年で行う事で対応をしている。畑はシロッコの影響を避ける為に、北向きの斜面に植えられているが、山を越えて温度、湿度が下がった風が、畑に吹き込む為、害虫が寄り付く事もなく健康的な畑となっている。  この特殊な気候条件、土壌条件が交わる事で、他には見られない特有のワインとなり得る。

《畑にあるチョーク質の結晶》

樽とステンレスタンクのハイブリット

 彼らの特徴である塩味を帯びたミネラルは、経年変化により、まろやかに変化をする。逆を言うと、個性を活かすためには、いかに早く醸造するのかにかかっている。外気温が高いこの地域において、温度管理しやすいステンレスタンクでの醗酵が理想的ではあるが、糖度が高い葡萄が故に、その後のバリック熟成が必要となってくる。この両方を実現し、時間を短縮する為に、樽の上下はステンレスタンク、中部は樽材というタンクを造り出し、醗酵の際に用いる様にしている。これにより、塩味を残した、フレッシュワインを造り出す事に成功している。この醸造方法を活かした事で、2009年がファーストリリースの若手生産者ながら、世界各国のワインガイドからも絶賛される程の急成長を遂げている。

《ステンレスと木樽材のハイブリットタンク》

花嫁のブーケ

 C.D.Cシリーズのエチケットになっている上記のボタニカル柄の生地は、この地域の伝統的な模様。花嫁が結婚式の際に頭にかぶる由緒あるものであり、熱心なキリスト教徒によって、大切に引き継がれている。また、200年以上も前から畑の中に建つキリスト像があり、ワイナリーのロゴとして用いられている。毎年5月になると、巡礼が行われている。

《畑の中にあるキリスト像》

参考上代 / 5,500円

タイプ  / 赤

産地  / –

品種 / シラー

熟成/ 225Lの小樽で14ヶ月

温度管理されたタンクにて18日間のマセレーション醗酵。その後、バリック(1/3は新樽)にて14ヶ月の熟成。カシスのジャム、バニラ、黒コショウなどのスパイスの香り。凝縮感のある円やかな果実味。

参考上代 / 5,500円

タイプ / 白

産地   / –

品種/ シャルドネ

熟成 / 225Lの小樽にて4ヶ月

葡萄の重さだけで自然と潰れたジュースのみを使用する。ハイブリット樽で醗酵の後、バリックにて4ヶ月熟成。ボトリングしてから8ヶ月落ち着かせる。洋梨、メロンのような甘い香りと、ナッツのニュアンス。甘やかな味わいの後に残る塩味が後を引く。