モルモライア

ワイナリー

ビオロジックの理想郷
モルモライア社は、1980年にジュゼッペ・パッソ―ニがこの土地を購入した事から歴史が始まる。サン・ジミニャーノから連なる丘の一つ、100haの荘園を所有している。そのうちの35haを葡萄畑、10haをオリーブ畑とし、残りはトスカーナの自然をそのままに残した状態にしアグリトゥリズモを営んでいる。この100ha全てをオーガニックにする事で、近隣の影響を受ける事の無い理想的な状態の畑を手に入れる事が可能となった。2013年にはオーガニックの認証を取得し、全ての商品に認証マークを記載している。また、彼らは多くの動物を飼育(ほぼ放し飼い)しており、荘園内は自然とバランスの取れた生態系が保たれている。

2つの土壌
サン・ジミニャーノ近郊には2つの土壌が存在する。1つは、三畳紀(中生代)由来の、所々に赤土とナトリウムが混ざる大陸性のミネラルが豊富な粘土質。もう1つは、アペニン山脈の造山活動による海底隆起に伴う、新生代の海洋性ミネラルが豊富な石灰質とで構成される。モルモライアは後者の石灰質土壌がメインとなっていて、白ワイン用の畑に用いられる。海底由来の土壌には、牡蠣を中心とした化石が風化した白い畑が多く見られ、ワインにもそのミネラルを感じる事ができる。また、粘土質土壌では黒葡萄を育てている。

3回に分けた収穫
ヴェルナッチャ種は成熟がゆっくりな品種。モルモライア社は、この葡萄を3回に分けて収穫する事で異なる個性の葡萄を手に入れている。最初は8月後半。まだ糖度は十分ではないが、酸度を重視したフレッシュな果実を得る。次が9月中旬。酸度、糖度が理想的なバランスの状態で通常の生産者はこのタイミングで収穫を行う。最後が9月後半。完全に熟した琥珀色の葡萄は、高い糖度を得られる。これらの葡萄をそれぞれ別のタンクで醸造を行う。最後にアッセンブラージュする事で、毎年理想的な味わいを造り出すと共に、単一品種でも複雑な味わいを表現できるようになる。

全房での醸造
通常の白ワインの醸造では、葡萄の梗は専用の機械で取り除かれ粒だけをプレスして葡萄ジュースを得る。彼らは梗と果実が切り離されたところから、葡萄のフレッシュなアロマや大切な成分が失われると考えている。その為、葡萄の房ごとゆっくりとプレスをしてジュースを得るようにしている。実際、こうする事によって酸化のリスクも抑えられ、よりフレッシュなワインとなる。彼らのヴェルナッチャ・ディ・サンジミニャーノはみずみずしく華やかで、伸びのあるミネラルたっぷりの酸に支えられた透明感のある味わい。さっぱりとアペリティフにも良いし海老や蟹、貝類などとも相性の良さを発揮する事だろう。

サン・ジミニャーノを臨む畑
荘園内を伸び伸びと過ごす動物たち

参考上代 /2,530円

タイプ/ ロゼ

産地/ San Gimignano

品種/ シラー70%、メルロ30%

熟成/ ボトルで3ヶ月

6度に保たれた状態で数時間スキンコンタクト。果皮を取り除いた後、温度管理されたタンク内で醗酵し、ボトリング。ガウディウムは喜びの意味。

アメリカンチェリーを思わせるようなエレガントな香り。フレッシュで軽やかな酸味が心地よい。