ミラッツォ
シチリア最古のメトド・クラシコ
ミラッツォ社はシチリア南西部のアグリジェント近郊に位置する。1900年代初頭に、マリア・コスタンツァにより歴史はスタートした。彼女が切り盛りをしたこのワイナリーは小さいながらも、地元で愛されていた。不運が重なり、第二次世界大戦の影響を受け、一時期ワイン造りを中止していたが、1972年に前代が事業を再開した事で、また新たな歴史が始まった。彼が着手したのが、土地に合った葡萄を植樹する事。特に白亜の石灰質土壌にはシャルドネとの相性が良い為、フランス産のシャルドネを接ぎ木をしていた。今でこそシチリア産のシャルドネは沢山見かけるが、当時にしては大変珍しい事であった。シャルドネを植樹した翌年には、トレンティーノのサン・ミケーレ醸造学校のマウレ教授が研究に加わり、醸造担当者として、このシャルドネをベースにしたメトド・クラシコのスプマンテ造りを開始した。当時、フィレンツェより南でメトド・クラシコを造った生産者はおらず、醸造技術、施設もなく、非常に困難を極めるが、ファーストリリースで570本のスプマンテを造り出す事に成功した。これがシチリアで最古のメトド・クラシコ誕生の瞬間であった。時間と共に評価を高めたワイナリーは、国際コンクールで200以上のタイトルを獲得しており、アメリカのクリントン元大統領の晩餐会に使用されるまで、名声を高められていた。
カワセミのロゴは安全な葡萄の証
彼らはビオロジック農法という概念が存在する前から、化学肥料を用いる事無く造られていた。戦時中はワインを造らずにイギリスやスイスに葡萄を販売していた。その際に、葡萄が安全である事の証として、綺麗なところにしか生息しないカワセミをロゴに使用していた。現在に至っても除草剤や化学肥料などの農薬は一切使用せず、2013年にはオーガニック認証も獲得している。また、環境への配慮をした醸造を行っており、セラーは全て地下に造られている。地下の方が涼しい為、エアコンの使用量は抑えられるし、液体は重力に逆らわずに下へ下へと進むように造られている為、ポンプを稼働させる回数も非常に少ない。このような活動を通じて、無駄なエネルギーを消費して、二酸化炭素の排出量を増やさない工夫をしている。
シャンパーニュ地方と同じ土壌
ミラッツォ社の造り出すメトド・クラシコの中で、トップキュヴェがフェデリコ・セコンド。このキュヴェはシャルドネ100%で造り出されているが、これはこの土地の畑の土壌が、シャンパーニュ地方のコート・デ・ブラン地方(シャルドネの銘産地)と似た土壌である事が由来する。海底由来の炭酸カルシウムを豊富に含んでいるため、スパークリングワインには欠かす事のできない、ミネラルを得る事ができる。また、これによって長期熟成に耐える事も可能となっており、このトップキュヴェは84ヶ月もの瓶内2次熟成を行っている。
参考上代 / 6,600円
タイプ / 泡白
産地 / –
品種 / インツォリ50%シャルドネ50%
熟成/ ステンレスタンク
24ヶ月の瓶内2次醗酵。この土地の特徴である白亜の石灰質土壌で育つ葡萄を使用する事で、ミネラルを得る。
グレープフルーツのようなフレッシュで爽やかな香り、泡立ちは細やかで余韻はフルーティー。
参考上代 / 8,250円
タイプ / 泡白
産地 / –
品種 / インツォリア50%、シャルドネ50%
熟成/ ステンレスタンクと225Lの小樽
48ヶ月の瓶内2次醗酵。基本はステンレスタンクで熟成し、良年の物はバリック熟成を行い、2種類以上のヴィンテージをブレンド。ハチミツ、トーストなどの甘く芳ばしい香り。落ち着いた泡立ちで、余韻のしっかりとした印象。
参考上代 / 7,480円(700ml)
タイプ / グラッパ
産地 / –
品種 / ネロ・ダヴォラ
熟成/ ステンレスタンク
ネロ・ダヴォラの力強さを表現している。非常に力強い為、醸造後に12ヶ月ステンレスタンクにて熟成。赤い花束を思わせる、丸みを帯びた味わい。