ミッシェル・グロ

ヴォーヌ村のシンボル、グロ家は19世紀後半にはドメーヌ内で瓶詰し直接販売を始めたという名門。ミッシェル・グロは1970年代より父、ジャ ン・グロと共にワイン造りを続け、単独所有の「クロ・デ・レア」を始めとして合計17.44haの畑を所有しています。ワインはぶどうの持つ要素を 最大限引き出した、とてもエレガントな味わいに仕上げられています。人柄も良いのも人気の理由の一つ。ブルゴーニュで最も申し分のない ワインを造るドメーヌの一つとワイン評論家ロバート・パーカー氏のお墨付きもいただいています。 2021年は比較的冷涼な年で、それまでの暑かった年と比べると、果実味が高く繊細なワインに仕上がっています。霜の害に見舞われ、収量 がかなり落ちた区画もありましたが、全体としてはとてもよい品質を呈す「クラシック」なヴィンテージと形容できるでしょう 。

醸造家の親子

ワイナリーの歴史

1830年にニュイ・サン・ジョルジュ村近くのショー村のアルフォンス氏によって設立されました。1963年、4代目のルイ氏が引退時に4人の子供が2組に別れて、1つは兄のギュスターブ氏と妹のコレット女史による「グロ・フレール・エ・スール」(=現在はジャン氏の次男、ベルナール氏が相続)と、もう1つがジャン氏とフランソワ氏による「グロ・ペール・エ・フィス」に分割されました。後者は1973年にそれぞれが独自にワイン造りをすることで再分割、ジャン氏が設立したドメーヌが「ジャン・グロ」となり、フランソワ氏が設立したのが「フワンソワ・グロ」となりました。これが後に続く「ミシェル・グロ」と「アンヌ・グロ」となります。

その為、現在は「グロ」のドメーヌは「ミシェル・グロ」、「グロ・フレール・エ・スール」、「アンヌ・フランソワーズ・グロ」、「アンヌ・グロ」の4つが存在しています。

収穫

2021年のヴィンテージ

2021年

2020 年から 2021 年にかけての冬は温暖で湿度が高く、冬が開ける頃には土壌に十分な 水分が蓄えられていました。2 月末に温かくなり、早期の芽吹きを心配しましたが、幸いにも 3 月に入ると冷涼な気候に戻り、月末になって気温が上昇してきました。ブドウの成長サイクル が既に始まっている中、4月6、7、8日に霜が下りたとき、それは衝撃的な惨事となりました。 損害はとても深刻でしたが、区画による大きな差も見られました。丘の頂上付近の畑ではより 早くに成長が始まるため損害が大きく、成長の遅い平野の畑では比較的損害が限られていまし た。コート・ド・ニュイで遣れれた芽は平均すると 40~50%、オート・コート・ド・ニュイは 標高が高く、成長が遅いために霜害を完全に逃れていました。

容赦ないこの突然の成長ストップの後、4 月、5 月はむしろ冷涼な気候だったため、ブ ドウ樹が成長サイクルを再開するのに時間を要し、私たちは収穫の遅い年になる事を予期しま した。霜害に遭ったブドウ樹とそうでないものには目に見えて成長に差が見られました。

6 月に夏の気候が再来し、瞬足のリズムで新枝が伸びて行きました。残りの夏はあまり 好ましい天気に恵まれず、カビ系の病原菌が発生し、畑仕事は至って困難でした。

8 月中旬から天候条件が改善され、ブドウの色づきや成熟が助けられました。ブドウの 健全さはこの時点で満足のいくものでしたが、ウドンコ病の存在はたくさんの畑で認められ、 特にオート・コート・ド・ニュイで増加していました。

9 月上旬の半月は太陽が照って乾燥し、ブドウの熟度が良いリズムで進み、ウドンコ病 の進展は落ち着いていました。

収穫は 9 月 19 日にコートで始まり、10 月 3 日にオート・コートで終わりました。コー ト・ド・ニュイでのブドウの健全さはとても満足度の高いものに留まり、選果も軽くする程度 で済みました。一方、オート・コート・ド・ニュイでは、特に 9 月末に雨が降り出したことか ら、ブドウの健全度が落ちてしまい、最良の品質だけを求めるために厳しい選果が必須となり ました。区画の中の一つはあまりに劣化がひどく、収穫さえも出来ませんでした。

ここ最近の 3 つのヴィンテージと異なり、2021 年はより冷涼な年ですが、難しい天候に 善処を尽くした、とても良い品質を呈す「クラシック」なヴィンテージと形容することができ るでしょう。美しいバランスに特徴づけられたこの年のワインは、果実味が高く、多大な繊細 さがあります。地方名のアペラシオンのワインは直ぐに喜びを与えてくれ、より格高い畑から 造られたワインは長期熟成に相応しいでしょう。