マリア ピア カステッリ

『ピッコロ・エ・ブォーノ』の精神 マリア・ビアと夫のエンリコによって、1997年よりワ イン造りを始めた家族経営の小さなワイナリー。元々、 この地はマリア・ピアの父、エラスモ・カステッリが食 用の葡萄を造っていた場所。ワイン造りを始めた時、収 穫量ではなく、品質を優先した1人娘に対して、食用葡萄 を造る父はその姿勢に反対していた。 始めてワインが出来たのが2002年の事。娘の畑仕事の 姿勢に反対していた父は、そのワインを口にして「鍵を かけないと取られちゃう!!(美味しいという意味)」と、 ほほ笑んだという。翌年、父エラスモは他界してしまう が、晩年は娘の仕事を心より応援していたという。 ワイン造りを始めた当初から、良いものを自分達の無 理なく造れるだけ「ピッコロ・エ・ブォーノ」(少量で 美味しい)の精神で、今もゆっくりと健康に営んでいる。

家族

葡萄畑は息子たちと同じ、、、だから健康に この土地はミネラルと鉄分を多く含む粘土石灰質の土 壌。はるか昔に海であった事に由来すると云う。父の代 から、少なくとも30年以上は化学薬品を使用していない 畑は、キジや野ウサギが住む健康的な畑。オーガニック の認証は得てはいるが、ワインに表記はしていない。 葡萄畑は息子たちと同じ様な物だから、極力健康に育 てたい。人によって成長が違う様に、葡萄たちも彼ら次 第。共に生活する様に、家族の様に大切にする事がマリ ア・ピアの想いなのだ。 樹々にはオレンジオイルやプロポリス(ハチ由来の天 然の抗菌物質)を使用。稀に、剪定後の枝を燃やした灰 を、弱っている葡萄樹の下に撒く。それ以外は、自然の 力に任せている。

畑を耕す

ミシュラン3つ星レストランでも絶賛 年間2万本程度しか生産していない小さな生産者。現地 のレストランで殆どが消費され、極少量のみが輸出され ている。まだまだ日本では無名だが、現地のマルケでは にわかにブームが起きている。 マルケのミシュラン3つ星レストランUliassiでは、グラ スワインのリストに採用。ホールサービスで定評がある、 2つ星レストランMadonnina del Pescatoreのシェフは、 ワイナリーに直接買い付けに行く程、贔屓にしている。 今はコロナの影響で、レストランの購入量が少ない事か ら、少しだけ日本にも分けて貰えている。毎回、少量し か入荷できない貴重なワインである。

農園の葡萄

畑の近くに植わるフルーツの樹の働き 彼らの家の裏には、白ワイン用の畑が広がっている。 そんな彼らの裏庭には、沢山のフルーツの樹が植わって いて、庭中に甘い香りが漂う。実はこれ、食用ではなく、 蜜蜂を沢山呼び寄せる為。 「彼らが居ないと、葡萄の花は受粉できないし、美味し い葡萄の実が成らないでしょ。」 さらりと話すマリア・ピアだが、こういった1つ1つに、 彼女の自然へのリスペクトと、自然と共に生活している 事が伺える。

オーガニックならではの悩み 化学薬品を使わないという選択は、自然との闘いでも ある。有機栽培での難しさは、雨が多く太陽の恵みが少 ない年、例えば2020年である。彼らはこういう年には、 何もする事ができないという。できる事は、収穫の時に 状態の良い、最高の房をみんなで細かく選ぶ事のみ。選 ばれなかった葡萄はそのまま土に。こういった厳しい行 いも、オーガニックならではの行動である。 ちなみに、2020年の収穫量は非常に少なく、1ha当た り2000kgだったという。普通の生産者は1ha当たり6、 7000kgである事を考えれば、どれだけ厳しい選択なのか が伝わってくる。

ラインナップ