ファットリア マンチーニ

200年以上前からピノ・ノワールの産地 ファットリア・マンチーニ社は200年以上続いている、 家族経営のワイナリー。現当主のルイジは5代目となる。 1810年に、ナポレオン政府から取り寄せたピノ・ノ ワールを植えた事が記録に残されている。当時から、こ の土地がピノ・ノワールに適している事を知っていたの だとルイジは云う。通常、マルケ州は粘土質土壌が主体 だが、ここは石灰質や砂が多く痩せた土地。また、海か らの影響を受ける冷涼な気候の為、ピノ・ノワールに適 しているとの事だ。 また、ミラノ大学の研究により、200年の歳月の中で 変化し、適応を繰り返してきたここのピノ・ノワールは、 ブルゴーニュのクローンとも異なる独自の物だと言う。 正にこの土地の土着品種である。

《5代目当主ルイジ・マンチーニ氏》

海に削られていく畑 エミリア・ロマーニャ州とマルケ州の境い目に位置す るペサーロは、フィレンツェよりも緯度が高い北緯43.9 度の海岸沿い。 左の写真はロンカリアの畑。石灰の砂岩土壌はもろく、 海からの浸食で、丘が削りとられているのが確認できる。 このままだと、どんどん海岸線が内陸に寄って行ってし まうらしい。 イタリア政府は、この地域をサン・バルトロ山州立公 園に定め、ここの自然を保護すると共に、海岸線の保護 に努めている。通常、自然公園内では、農作業するには 許可が必要となるが、マンチーニ社は反対に、この公園 内で農作業をする事を義務付けられている。畑がある事 によって、崖が崩れるのを抑制しているからである。

《アドリア海に削られる海岸線》

黒葡萄から造られる白ワイン マンチーニ社のフラッグシップでもある「インペロ・ ブラン・ド・ノワール」は黒葡萄のピノ・ノワール(ピ ノ・ネロ)100%で造られる珍しい白ワイン。 本来は偉大な赤ワインになるピノ・ネロは果皮が薄く 繊細である。収穫した葡萄は、かごの中で自らの重さで 押しつぶされてしまうと、皮の色が付いたジュースと なってしまう。これを防ぐ為に、マンチーニ社は葡萄を 冷却する冷蔵庫とプレス機を畑内に運び込み、収穫後に 畑内で冷却とプレスを行ってしまう。 努力の結晶であるこの白ワインは、1998年から生産さ れ、瞬く間に有名になった。

《アドリア海を見下ろすピノ・ノワールの畑》

唯一無二の造り手 DOC コッリ・ペサレージは特定の地域名を表記する事 が可能なワイン。その中で、「RONCAGLIA(ロンカリ ア)」という地域名を冠したワインは、マンチーニ社が 唯一の造り手である。「FOCARA(フォカーラ)」はマ ンチーニ社の他に、ロベルト・ルカレッリ社の2社が造る。 中部イタリアに位置しながらも、非常に冷涼な土地。 断崖絶壁の丘で、海風の影響を強く受けるこの地域は、 冬には雪が積もる事もある特殊な土地。彼らのエチケッ トには、この独特な条件の畑を記している。是非、他に は無い個性を感じて頂きたい。

キッチンのあるセラー
夕暮れ時の食前食す