テヌーテ ジローラモ

ワイナリー

ジャンジローラモ伯爵へのオマージュ

 世界遺産のトゥルッリ(三角屋根の白い石の家)の歴史と、この地域のワインには、深い関係がある。17世紀初期、ナポリ王国に支配されていたこの土地は、家の数(屋根の数)だけ税金を納める決まりがあり、住民たちは皆貧しく、重税に苦しんでいた。石灰質が多いこの土地では、畑を開墾するにも苦労をする為、大きな農地を得る事ができずにいた。その為、住民たちは皆、質素な生活を送っていた。この状況を打開する為に立ち上がったのが、領主であるジャンジローラモ伯爵。彼は住民たちに2つの事を命じた。1つ目は領地の開墾。領地の外からも働き手を雇い入れ、皆で一斉に開墾をする事で効率を高めた。もちろん、地中からは大量の石灰岩が掘り出され、それらは畑の脇に積み上げられていった。2つ目は、この積み上げられた石灰岩を使って、住居を建てる事。それもモルタルなどを使わずに、積み上げるだけの簡易的な造りである。この様な造りでは強度が弱いはず。だが、あえて壊れやすくする事で、ナポリ王国の役人が、屋根を数えに来ると分かった時(高台からざっくりとカウントするらしい)、屋根を崩す事でそこに家が無いかの様に見せて、税金を免れる事ができたのだそうだ。その後、開墾した土地からは、計画的に農業がおこなわれ住民の生活を豊かにする事に繋がった。彼へのオマージュとして造られたワインは、特産品である石膏を用いたインパクトあるエチケットを用い、アイデンティティを表現している。

《1本ずつ石膏で造られるエチケット》

トゥルッリが点在する石灰質の畑

 テヌーテ・ジローラモ社は前途のトゥルッリが数多く残る、アルベロベッロの街からほど近く、マルティーナ・フランカの丘の上に位置する。もちろん、彼らの畑の中にも、トゥルッリが点在している。この地域は、石灰の岩盤があり、畑を掘ると白い石灰岩がゴロゴロと出てくる土壌。この石灰質が混ざる土壌が、葡萄にミネラルを与える事で、酸と果実味のバランスが取れた、長期熟成にも耐えうるワインが造られる。2006年がファーストヴィンテージと、まだまだ若い生産者であるが、プーリアの土着品種の可能性を信じ、拘りを持っており、これからの成長が期待できる。

《畑の中にあるトゥルッリ》

参考上代 / 2,750円

タイプ / 赤

産地  / –

品種 / ネグロアマーロ

熟成/ 225Lの小樽にて6ヶ月間

ソフトプレスの後、楕円型をした小樽にて6ヶ月熟成。その後、ボトルに移されててから更に6ヶ月熟成。

プラム、オレンジの皮の砂糖漬け、黒コショウ、シナモンの香り。品種個性である甘苦さがある。

参考上代 / 3,080円

タイプ  / 赤

産地  / –

品種/ プリミティーヴォ

熟成 / 225Lの小樽にて6ヶ月

通常よりも収穫を2週間遅らせた、糖度の高い葡萄を使用。醸造に関しては、ネグロアマーロと全く同じ。赤いベリー系のジャム、干したプルーンの香り。力強く、甘酸っぱい味わい。

参考上代 / 6,600円

タイプ / 赤

産地  / –

品種 / プリミティーヴォ50%、ネグロアマーロ50%

熟成 / 225Lの小樽に24ヶ月

通常期に収穫されたプリミティーヴォを使用。ソフトプレスの後、24ヶ月小樽にて熟成。その後、ボトルに移されて6ヶ月熟成。ブラックベリー、カシスジャム、バニラ、チョコレートの香り。時間と共に力強いタンニンが表れる。